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エピソード

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人類の誕生(猿から人へ)
 私が学生の頃の話です。記憶をたどって紹介します。
 友人に連れられて岩田山へ行きました。岩田山は京都嵐山の渡月橋の西岸を少し北に行ったところにあります。そこには京都大学の霊長類研究所(?)があり、猿を使った色々な実験をしているところです。有名な今西錦司先生もおられたのではないでしょうか。
 何回かに分かれた実験を以下にまとめます。今西先生の本にも書かれています。
 最初の実験は檻の外に棒とリンゴを置いていました。猿は檻の中から何度も素手でリンゴをとろうとしましたが、取れないと分かると、棒を使ってリンゴを手繰り寄せました。猿は道具が使えるという実験です。
 猿1匹では降ろせないリンゴの入った籠をぶら下げました。ボスとおぼしき猿が紐を引っ張りますが、籠は降りてきません。そこで、なにやら叫ぶと、数匹の猿がやってきて、一緒に引っ張り、見事籠を降ろしました。猿は言葉を持ち、協力できると言う実験です。
 生まれてすぐの赤ちゃん猿を置いて、母親猿を檻の外に出しました。赤ちゃん猿は泣いていました。そこへ母親猿に似たヌイグルミを入れました。しばらく様子を見ていた赤ちゃん猿はヌイグルミに寄って行きました。猿は感情を持っているという実験です。
人類の誕生と進化(脳の容量:単位CC)
類人猿 猿人 原人 旧人 新人 現代人
1000万年前 500万年前 50万年前 15万年前 3万年前 -
400 600 900 1300 1500 1500
ライオン チンパンジー 人間
脳重量
体重 8500 700 130 47
人間と猿の違いは親指と人差し指の相対の違い
指は大切に使いましょう
 猿にキャラメルとやると上手に包装紙を取り除いてキャラメルだけを食べます。しかしよく見ると、猿は指を使わず、掌を使っています。猿の手をよく観察すると、親指と人差し指が相対していないのです。人間は親指と人差し指が相対しているので、どんなに細かい物でもつまんだり、加工できるのです。ここに人間と猿と違いがあると、今西先生は指摘しています。
 指を使えば、脳が刺激を受け、大きくなる。脳が大きくなると、指はもっと多様的に使える。この循環が人間を進化させたというのです。
 今西先生は「ジャングルを追われた猿が、平原で敵を探るために2本の足で立ち上がり、その便利さを知った猿が人間になり、再びジャングルに戻った猿がそのまま猿になった」と書いています。つまり猿が人間の先祖だというのです。

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