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エピソード

024_02

労働税(軍団・衛士・防人、仕丁)
 当時の税制には、口分田からの祖がありました。物納税には、調・調副物・庸があります。
 雑税には、公出挙と義倉があります。
 労働税とは労働奉仕する税金です。
 ここでは労働税を見ましょう。正丁の丁は、21〜60歳の男子です。21〜60歳の女子は丁女です。
次丁(又は老丁)は、61〜65歳の男子です。中男(又は少丁)は、17〜20歳の男子です。
1〜3歳 4〜16歳 17〜20歳 21〜60歳 61〜65歳 66歳〜
正丁(21〜60歳男子) 次丁(61〜65歳男子) 中男(17〜20歳男子)
歳役 上京し10日間の労役 正丁の2分の1 -
雑徭 国衙で年間60日間の労役 正丁の2分の1 正丁の4分の1
兵役 衛士は上京し1年間 - -
防人は九州で3年間 - -
軍団 - -
仕丁 上京して3年間 - -
 防人とは読んで字の如く防ぐ人です。何を防ぐかと言いますと、外的からの攻撃を防ぎます。かなり任務がきついので、近隣から動員したのでは、逃げ帰る心配があったのでしょうか。東国から多くが動員されました。
 今も昔も、命令する方は「口」か「紙面」で済みます。しかし、動員される側は環境に大きな変化がおきます。出張はしばらくすれば、元気に帰ってきます。しかし、兵士は死が待っています。
 こうした兵士に行く人、送る人の心情を『万葉集』が取り上げています。
 (1)父母は 頭かき撫で 幸く在れて いひし言葉ぞ わすれかねつる
 (2)韓衣 裾に取りつき 泣く子らを 置きてぞ来ぬや 母なしにして
 (3)防人に 行くは誰が夫と 問ふ人を 見るが羨しさ 物思ひもせず
 (1)は大きく育てた父や母の思いが伝わってきます。
 (2)は母がいない子を残して兵士に行く父のやりきれない思いが分かります。
 (3)は兵士に行かない近所の人のヒソヒソ話を、うらやましく思う新妻(?)の気持ちです。学校図書館で借りて読みましたが、それぞれの思いを今も鮮明に暗記しています。
宇宙飛行に持っていく1冊の本、それは『万葉集』
 以前、「5年ほどの宇宙旅行の時に持って行く1冊の本は?」というアンケートがありました。外国人は『聖書』が一番でした。日本人は『葉隠』が一番でした。
 私は『万葉集』を文句なくあげたい。その理由は、度々書いてきたように、敵味方の別なく、身分の上下の関係もなく、男女は勿論、子供まで、雑多の人が色々な形で登場する、”おおらかさ”故です。
 貧しくても、人々は知恵を出し合い、自然を愛し、自然と戯れていた時代だったのでしょう。私も定年後は、妻と共に、貧しくとも、自由を愛し、自然と一緒の生活を送っています。一歩でも万葉人に近づくように…(万葉歌人という言葉はあっても、万葉人という言葉はないよ。じゃ、作りましょうか)
 皆さんも万葉人協会にお入りになりませんか。但しバーチャル協会です。

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