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エピソード

026_01

生産と流通(和同開珎誕生秘話、物々交換は楽ではない)
 「昔、人々は物々交換をしていた」というが、現実的には、物々交換は口で言うほど楽ではない。
 私は米を持っている。重い米を持って、漁村に行き、塩を買いたいと思う。漁村で塩を売って、米を買いたい人を探す。魚を売って米を買いたい人はいるが、塩を売る人はいない。塩を売って野菜を買う人はいる。こうして重い米をもって、あちこち歩き回っても、なかなか、交換はできないことが分かる。
 ここで皆が欲しがる物(金とが銀)を売買の仲立ちに使うと、交換は簡単に出きる。私は金を持って漁村に行き、塩を買う。私から金を得た人は、それで野菜を買う。
 こうして日本最初の貨幣である、和同開珎が誕生しました。
 貨幣発行の経過を見てみましょう。
 668年、越後より石油が献上されました。
 674年、対馬より銀が献上されました。
 702年、度量衡の制定が制定されました。度とは長さ・面積、量とは容積、衡とは重量のことです。
 708年1月、武蔵より自然銅が献上されました。そこで和銅と改元されました。
 5月、最初の貨幣である和同開珎が鋳造されました。
 711年、貨幣を流通させる目的で、蓄銭叙位令が出されました。その内容は、10貫以上の蓄銭すれば、位を1階進級するというものです。
 714年、郡司任命の条件を蓄銭6貫以上とするなど貨幣の流通を図りました。銭貨が流通したのは、都とその周辺だけで、地方では稲・布の方が価値が高く、稲・布が貨幣として流通しました。
 749年、陸奥より金が献上されました。
度量衡
1里 1町 1間
(6尺)
1尺 1町
(10反)
1反
(300歩)
1畝
(30坪)
1坪
度=長さ(m) 3927 109 1.8 0.3 度=面積(u) 9917 991 99 3.3
1石 1斗 1升 1合 1勺 1貫
(1000匁)
1斤 1匁
量=容積(g) 180 18 1.8 0.18 0.018 衡(c) 3750 600 3.7
皇朝十二銭(708〜958年)
名称 和同開珎 万年通宝 神功開宝 隆平永宝 富寿神宝 承和昌宝
天皇 元明 淳仁 称徳 桓武 嵯峨 仁明
発行 708 760 765 796 818 835
名称 長年大宝 饒益神宝 貞観永宝 寛平大宝 延喜通宝 乾元大宝
天皇 仁明 清和 清和 宇多 醍醐 村上
発行 848 859 870 890 907 958
頭の学問、紙の学問だけでは限界を超えられない
 何故、金が世界共通の貨幣になり得たのでしょうか。別な表現をすると、何故、金は世界中の誰もが欲しがる物だったのでしょうか。
 1グラムの金は針金状にすると、1キロも伸びると言います。1グラムの金を板状にすると、1万分の1ミリに薄くなると言います。銀は金に対して針金状にしても、板状にしても格段に劣ると言います。
 黄金の輝きといい、その質の高さといい、金は歴史を通じて、世界中の憧れの的だったのです。現在も、これに勝る物は見出されておりません。

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