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エピソード

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地方の反乱と武士(桓武平氏と清和源氏)
 中央政治の乱れが地方の治安の乱れとなりました。地方で持てる者(有力農民)は、自分の財産を維持するために、弓矢という武器や、馬という騎乗手段を使って武装し、自衛するようになりました。これが武士の発生です。
 地方に下ってくる強欲な国司(受領)に対抗するため、中小武士団は地方の豪族を中心に武士団を形成していきます。特に蝦夷征討の基地であった関東で発達します。
 自立心の強い武士団をより強固にするには、カリスマ性のある旧来の大豪族が棟梁の家として推戴されるようになります。棟梁(家の中心をなす棟と梁から転じてリーダー)とは統領(土地を統べるから転じてリーダー)にも通ずる言葉です。
 時代が下ると、土着して豪族化した国司の子孫が棟梁の家として崇敬を集めるようになりました。
 その代表が桓武平氏です。桓武天皇の子が葛原親王で、葛原親王の孫が皇族を離れて平姓をもらい(賜姓)、平高望となります。
 その子孫から平氏土肥氏大庭氏畠山氏北条氏などが出ます。
 もう一方の代表が清和源氏です。清和天皇の子が貞純親王で、貞純親王の子が皇族を離れて源姓をもらい(賜姓)、源経基となります。
 その子孫から源氏足利氏新田氏武田氏佐竹氏などが出ます。
貴種のカリスマを尊重する田舎武士
 TVや映画の主人公を見ますと、源頼朝より源義経の方が取り上げられる回数が多い。水戸黄門や遠山金さん、将軍吉宗などは実在の人物であるが、フィクションに人気がある。
 忠臣蔵や新撰組も実際の話であるが、ノンフィクションでもフィクションでも人気がある。
 井戸の話になると、弘法大師と結び付けられる。天満宮の話になると、菅原道真と結びつく。情熱的な女性の話になると、和泉式部となる。中央の貴種をありがたがる地方の劣等根性を巧みについた高野聖などの宣伝のおかげです。「ボロは着てても心は錦」の反対が、ブランド志向です。
 いくら分析しても説明できない。それがカリスマ性というものでしょう。弱い人間の心理の透間に巧みに入ってくる魔性なのかもしれません。
系図の説明(天皇、平氏・源氏の祖、平氏・源氏の本家・分家)
桓武天皇 国香 貞盛 維衡 正度 正衡 …平清盛
 ‖━ 葛原親王 高見王 平高望 良将 將門 惟将 惟時 (北条氏)
多治比真宗 良文 忠頼 将恒
棟貞皇女 忠常
  ‖━ 貞純親王 源経基王 源満仲 頼信 頼義 義家 義親 為義 …源頼朝
清和天皇 頼光 義国 義重 (新田氏)
義康 (足利氏)
義光 義業 (佐竹氏)
義清 (武田氏)
盛義 (平賀氏)

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