喜多川歌麿・飾北斎・安藤広重（浮世絵）ーエピソード高校日本史（154-01）

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喜多川歌麿・東洲斎写楽・飾北斎・安藤広重（浮世絵）
１	高校時代、私は、「美人画の歌麿・役者絵の写楽・風景画の北斎と広重」と覚えさせられました。本当につまらなかったことを記憶しています。　私は、浮世絵の図版をたくさん揃え、時間をかけて、比較したりして、その特徴を説明しています。絵画に関しては、文字によるイメージでは限界があります。しかし、図版によるイメージは鮮明に残ります。今回は、その方法で説明します。
２	宝暦時代、鈴木春信は錦絵で『弾琴美人』で先駆者となりました。鈴木春信の特徴は、全身の美しさを強調しています。　寛政時代になると、喜多川歌麿が出ました。喜多川歌麿は大首絵という顔をアップする作風で、『婦女人相十品』が人気を呼びました。アップはその人の表情がよく見えます。　同じく寛政時代に、東洲斎写楽が出ました。僅か１年間に１４０点の作品を残して、姿を消しました。東洲斎写楽の絵は、似顔絵（役者絵）ですが、顔の一部を誇大化するので、モデルの役者からは敬遠されました。しかし、庶民は、その誇大化した役者の顔に親しみを感じ、絶大な人気を博しました。最後には、東洲斎写楽には取り上げてもらえない役者は役者でないとまで言われるようになりました。市川蝦蔵にしても、中山富三郎にしても、大谷鬼次の奴江戸兵衛にしても違和感を覚えます。しかし、じっくりと味わうと、その役者にしかない個性が滲み出ています。喜多川歌麿の存在感のない美人画とは違っています。
３	天保時代になると、飾北斎と安藤広重（歌川広重）が出ました。ともに風景版画を得意としています。　しかし、飾北斎の『富嶽三十六景』とか『北斎漫画』をよく見ると、波や雲は様式化、あるいはデザイン化されていることに気がつきます。　他方、安藤広重の『東海道五十三次』や『江戸名所百景』などを見ると、劇画風のタッチで描かれていることがわかります。　デザイン的か、劇画風かを見分ければ、暗記しなくても、両者の違いは分かります。
絵の評価で、変化する部分と不変の部分
１	結婚式の花嫁写真をみると、全身の写真とアップの顔の写真があるのは、春信と歌麿のよさを、現在も継承しているのです。
２	現在の似顔絵の大家■■さんは、大成する人は似顔絵にしやすいが、似顔絵にし難い人は小粒な人が多いと語っていました。　役者は、最初、喜多川歌麿に描いてもらうことを望み、東洲斎写楽を敬遠しました。しかし、後には、面白みのない歌麿より、個性的に描く写楽に描いてもらうことを競ったといいます。