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ごあいさつ
第ニ十回は青木書店
宮澤誠一著『近代日本と「忠臣蔵」幻想』
(W)

忠臣蔵で抜け落ちていた近代
真正面から取り組んだ本格的忠臣蔵論
忠臣蔵研究者も注目
 「忠臣蔵」のホームページをアップしたのが
1996(平成8)年である。毎月14日に忠臣蔵
新聞などを掲載してきて今回で208号を数え
る。お陰で色んな方からメールが届く。多い時
には30通になるときもある。少ないときでも毎
日1通はある。IT革命の恩恵を受けていると実
感している。
 そんな中で、最近出版された忠臣蔵関係の
書物の傾向・特徴はどんなものかという問い合
わせもあった。今回取り上げたのは、忠臣蔵
研究で欠落していた近代に真正面から取り組
んだ本格的な忠臣蔵論である。私にとっても
初見なデータもあり、発行年をはっきり記述し
ている著者と署名を数回にわたって紹介し、
その後感想を述べたい。
 紹介するデータはこの本で記述されている
順なので、発行年は年次順ではない。
番号 編著者など 書名・演劇名 発行年





















077 通俗教育普及会 赤穂誠忠録(通俗教育叢書) 1913年
078 司馬僧正 拙者は大石内蔵助ぢや 1913年
079 井上剣花坊 赤裸々の大石良雄 1914年
080 伴 蒿蹊 閑田次筆 1806年
081 芳賀矢一 花は桜木人は武士ー切腹ー四十七士ー西洋道武士道の制裁 1915年
082 鍋田晶山 赤穂義人纂書 1910年
083 福本日南 元禄快挙真相録 1914年
084 中央義士会 義士大観 1918年
085 大隈重信 序(義士大観) 1921年
086 芥川竜之介 或日の大石内蔵助 1917年
087 山路愛山 日本人民史 1917年
088 津田左右吉 文学に現れたる我が国民思想の研究 平民文学の時代 上 1921年
089 麻生 久 忠臣蔵に現れたる日本国民性(雑誌『解放』) 1921年
090 河竹繁俊 歌舞伎劇に現れたる我国民性(雑誌『解放』) 1921年
091 メイスフィールド 忠臣蔵(翻案劇) 1915年
092 小山内薫 忠義(メイスフィールドの忠臣蔵劇を逆輸入) 1921年
093 二代目市川左団次 忠義(明治座で上演) 1921年
094 牧野省三・尾上松之助 実録忠臣蔵(映画) 1921年
095 尋常小学国史 大石良雄 1921年
096 川原国松 歴史教授法精説 1928年
097 徳富蘇峰 元禄時代 中巻 義士篇(『国民史』第18巻) 1925年
098 栗田元次 総合日本史大系 江戸時代史 上二 1927年
099 尾佐竹猛 赤穂義士に就いて(『講談全集』第3巻) 1929年
100 白井喬二 新講談 元禄快挙(週刊誌『サンデー毎日』) 1925年
101 池田富保・尾上松之助 実録忠臣蔵(映画) 1926年
102 マキノ省三 忠魂義烈 実録忠臣蔵(映画) 1928年
103 野上弥生子 大石良雄 1926年
104 大佛次郎 赤穂浪士(『東京日日新聞』) 1927年
105 金子洋文 赤穂浪士(新国劇) 1929年
106 志波西果・大河内伝次郎 赤穂浪士(映画) 1929年
107 伊藤大輔 堀田隼人(映画) 1933年
108 菊田一夫 阿呆疑士銘々伝(浅草の玉木座) 1930年
109 森田草平 吉良家の人々(『東京日日新聞』) 1929年
110 森田草平 四十八人目(『改造』) 1929年
111 菊池 寛 吉良上野の立場(『講談倶楽部』) 1931年
112 直木三十五 大野九郎兵衛の思想(『オール読み物』) 1931年
113 三田村鳶魚 横から見た赤穂義士 1930年
114 萩原朔太郎 絶望の逃走 1935年
115 羽仁五郎 大石良雄の場合(『新興科学の旗の下に』) 1929年
116 長谷川如是閑 唯物史観赤穂義士(『中央公論』) 1931年

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