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ごあいさつ
第ニ十七回は成美堂出版
船戸安之著『赤穂浪士』
-物語と史蹟をたずねて-

ブロードバンド(光ファイバー)の時代
もう一度、ビデオ撮影の旅へ
先ずデスクワークから
指針になる諸先輩の本をひも解く
そしてフィールドワークへ
 私はこの欄の第四回目に、司波幸作氏の『元禄忠臣蔵の舞台』(←ここをクリック)を紹介しました。その本は、今も私たち夫婦に全国の義士関係の史跡巡りという大きな生きがいを与えてくれた1冊の本です。
 そこでも書きましたが、この本のガイドとして優れているのは、苦労して現地を取材していることである。北は岩手県一関市の祥雲寺に行っては「浅野内匠頭供養塔」を撮影している。
南は鹿児島県鹿児島市に行っては西郷隆盛が郷中教育の教材に利用したという「赤穂義士伝」を撮影している。
 忠臣蔵史蹟めぐりの色々な本を読むうちに、見たり、読んだりした人のためになる自分らしさのガイドブックが作りたくなった。既に「史跡忠臣蔵」の引き上げルートの部(←ここをクリック)では実施しているが、もう一度諸先輩の本をゆっくりと紹介しながら、何が必要かを検証したいと思います。
 その第1回目に選んだのが、船戸安之氏の『赤穂浪士』です。先述の司波さんの本が平成2(1990)年で、船戸さんの本が昭和49(1974)年です。船戸さんの方が16年先輩ということになります。
 
まず、物語を概観し、史蹟探訪で現地を紹介する
 刃傷事件を伝える「早駕籠」の項では、早水藤左衛門と萱野三平が江戸からやってきて、大石内蔵助に主君の刃傷を伝える。
 ここでは息継ぎ井戸と大石神社にある大石邸の庭園の写真が紹介される。
 史蹟探訪では「息継ぎ井戸」の住所(兵庫県赤穂市加里屋50番地)と最寄り駅(国鉄赤穂線播州赤穂駅下車)と距離(徒歩5分)が記されている。
ストーリーもいいが、住所、最寄り駅、距離の紹介がいい
 「風雲」の項では、藩札の交換、堀部安兵衛ら江戸急進派の来穂、城明け渡しへの準備などが語られる。
 ここでは赤穂城塩屋門跡と花岳寺の写真が紹介される。
 史蹟探訪では赤穂の有名な史蹟が紹介される。塩屋門は赤穂市上仮屋にあって、国鉄赤穂線播州赤穂駅下車、徒歩15分と紹介される。
 遠林寺跡は兵庫県赤穂市加里屋にあって、国鉄赤穂線播州赤穂駅下車、徒歩10分と紹介される。
 大野九郎兵衛宅跡は塩屋門と同じとなっている。
 花岳寺は兵庫県赤穂市加里屋にあって、国鉄赤穂線播州赤穂駅下車、徒歩10分と紹介される。
番地まである住所がいい、最寄の駅や、そこから徒歩何分のいい
 いくら写真があっても、ガイドであるからには、正確な住所が知りたい。この本には番地まで記入している。タクシーの運転手に言えば正確に連れて行ってくれる。
 近くであれば、公共の交通機関を使いたい。そのためには最寄り駅と、そこからの徒歩時間が必須である。ガイドとして草分けでありながら、必要な条件を備えている。私も何度も愛読した一冊である。
この本の問題は古い。だから、住所が違ったり、移転したり、最寄のバス停がない

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