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ごあいさつ
第三十三回は新人物往来社
別冊歴史読本『元禄忠臣蔵-実録・赤穂事件の全貌-』(2)

ブロードバンド(光ファイバー)の時代
もう一度、ビデオ撮影の旅へ
先ずデスクワークから
指針になる諸先輩の本をひも解く
そしてフィールドワークへ
 私はこの欄の第四回目に、司波幸作氏の『元禄忠臣蔵の舞台』(←ここをクリック)を紹介しました。その本は、今も私たち夫婦に全国の義士関係の史跡巡りという大きな生きがいを与えてくれた1冊の本です。
 そこでも書きましたが、この本のガイドとして優れているのは、苦労して現地を取材していることである。北は岩手県一関市の祥雲寺に行っては「浅野内匠頭供養塔」を撮影している。
南は鹿児島県鹿児島市に行っては西郷隆盛が郷中教育の教材に利用したという「赤穂義士伝」を撮影している。
 忠臣蔵史蹟めぐりの色々な本を読むうちに、見たり、読んだりした人のためになる自分らしさのガイドブックが作りたくなった。既に「史跡忠臣蔵」の引き上げルートの部(←ここをクリック)では実施しているが、もう一度諸先輩の本をゆっくりと紹介しながら、何が必要かを検証したいと思います。
 その第33回目に選んだのが、新人物往来社の定評がある「別冊歴史読本」です。
 有名な歴史上の人物や事件は網羅されているのに、88回まで忠臣蔵が取り上げられなかったのが、不思議なくらいです。待望の書ということになります。 
赤穂開城(江戸からの急使〜家臣総登城〜城明け渡し)
(1)大石内蔵助邸長屋門・息継ぎ井戸・早水藤左衛門旧宅跡・赤穂城本丸・原惣右衛門旧宅跡・大石内蔵助寓居(おせど)跡・大石瀬左衛門旧宅跡・大石邸跡庭園・塩田跡・不忠柳碑・大野九郎兵衛宅跡・花岳寺・浅野長矩廟・大石庭園内の泉水・遠林寺・寓居跡の井戸跡・赤穂城大手門(赤穂)
(2)萱野三平自刃の部屋・萱野三平の旧宅・新福寺の萱野三平一族の墓(大阪)
(3)江戸城・三田八幡・泉岳寺の萱野三平の墓(東京)
(4)大石内蔵助の山科閑居跡・極楽寺・閑居跡の石標・左阿弥・花遊小路・来迎院の進藤源四郎の墓・岩屋寺の茶亭・上善寺のお軽の墓・撞木町遊郭跡・よろづやの碑(京都)
(5)近松勘六の生家(滋賀)
(6)上杉綱勝の廟・日朝寺の千坂兵部の墓・鳳台寺の上杉綱憲の木像・法泉寺の吉良富子の墓(米沢)
江戸集結(主家再興運動〜山科会議〜江戸潜入)
(1)赤穂御崎・大石名残の松・間喜兵衛旧宅跡・赤穂城本丸門・大石内蔵助邸長屋門・岡島八十右衛門旧宅跡・原惣右衛門旧宅跡・大高源五旧宅跡・潮田又之丞旧宅跡・中村勘助旧宅跡・山鹿素行銅像・不破数衛門旧宅跡・磯貝十郎左衛門旧宅跡(赤穂)
(2)瑞泰寺の石束源五兵衛の墓(兵庫)
(3)前川忠太夫宅跡・小山屋跡・高田馬場の決闘の碑・牛天神下堀内道場付近・堀部弥兵衛・青松寺の安兵衛父子の墓・松平邸跡・泉岳寺の不破数衛門墓・泉岳寺の奥田孫太夫墓・泉岳寺の武林唯七墓・泉岳寺の寺坂吉右衛門墓・福厳寺の大石三平の墓・満願寺の細井広沢の墓・小山屋跡・泉岳寺の大石瀬左衛門墓(東京)
(4)大石内蔵助閑居跡・来迎院の進藤源四郎の墓・来迎院の内蔵助寄進の茶席「含翠軒」・撞木町遊郭跡・上善寺のお軽の墓・左阿弥・安養寺・長楽寺の寺井玄渓の墓(京都)
(5)馬庭念流の道場(群馬)
(6)西方寺山下墓地の奥村無我の墓(香川)
(7)黄金堤・真正寺・華蔵寺の上野介の墓(吉良)
(8)米沢城跡(米沢)
(9)堀部安兵衛誕生地の碑(新発田市)
(10)国泰寺の渡辺治庵の墓(広島)
(11)錦織寺の近松勘六の墓・近松勘六の生家(滋賀)
(12)円通院の大石八郎兵衛と大石良昭の墓(大阪)
吉良邸討入り(同志集結〜吉良邸討入り・四家お預け)
(1)深川八幡・吉良邸跡・万昌院の上野介の墓・松平隠岐守屋敷跡・毛利甲斐守屋敷跡・細川越中守屋敷跡・泉岳寺の赤穂浪士の墓・堀部安兵衛隠れ家跡・吉良邸の首洗い井戸・吉良邸跡・永代橋・両国橋袂の大高源五句碑・妙行寺の瑤泉院の供養墓・満願寺の細井広沢の墓・吉良邸跡・細川邸の大石の切腹石・一ツ目橋・養源院の仙石久尚の墓・泉岳寺の首洗い井戸・評定所跡・江戸城・細川邸跡・細川邸の大椎の樹・養源寺の仙石久尚の墓・仙石伯耆守屋敷跡・仙石邸の井戸跡・松平隠岐守邸跡・毛利甲斐守邸跡・水野監物邸跡・松平邸内の赤穂義士の碑・泉岳寺山門・松平邸跡の庭園・泉岳寺の大石主税墓・泉岳寺の瑤泉院の墓・妙行寺の瑤泉院の供養墓・妙行寺の浅野大学夫人と浅野長直夫人の墓・曹渓寺の寺坂吉右衛門夫妻の墓(東京)
(2)華蔵寺の上野介愛用の茶道具・華蔵寺の上野介自筆の短冊・正覚寺の左右田孫兵衛の墓・花岳寺の斎藤清左衛門の墓・西福寺の鳥居利右衛門の墓・円融寺の清水一学の墓・正覚寺の左右田孫兵衛の墓(吉良町)
(3)法華寺の吉良義周の墓(長野)
(4)照陽寺の山吉新八郎の墓・林泉寺の新貝弥七の墓・千眼寺の色部又四郎の墓・鳳台寺の上杉綱憲の木像・板谷峠の大野九郎兵衛の碑・大野九郎兵衛らの評定窟・赤穂事件受難の碑・照陽寺の山吉新八郎の墓(米沢)
(5)北岡墓地の細川綱利の墓(熊本)
(6)国泰寺の大石大三郎とりくの墓・常林寺の大石るりの墓(広島)
(7)竜門寺の藤井又左衛門の墓(姫路)
(8)大石吉千代の墓・真修庵跡地の大石理玖と子供の像・正福寺の大石理玖と吉千代と久宇の墓・瑞泰寺の石束源五兵衛の墓(豊岡)
(9)本妙寺の吉田忠左衛門父子・貝賀弥左衛門の墓・西方寺の小野寺十内父子と岡野金右衛門と大高源五の合祀墓・了覚院跡の小野寺丹といよの墓(京都)
(10)高島城・法華寺・高島城南の丸跡・法華寺の吉良義周の墓(長野)
(11)花岳寺の梅容童女の墓(赤穂)
この書のよい点
 この書のよい点は、ご覧のように、多地方から、膨大な史跡を紹介している点です。
 私も、この書によって、新たに教えられた史跡を訪ねてきました。
この書の問題点
 問題点は、多数の人が著述に関わっていることによる弊害です。私も文化庁の調査報告に、複数で参加しましたので、分かりますが、別々に取材して、合同の編集会議が1〜2度あるだけなので、仕方がないのかもしれません。ただ、私たちの場合は、ブロックに分かれているため、重複する箇所が、基本的にはないということです。でも、記述方法をめぐっては、様々になっていした。後に、出版社から発行されるに及び、記述方法や表現方法を厳しくチェックされました。
 著名な人にはチェック出来なかったのか、編集者が労を惜しんだのか、そこら辺が残念です。
(1)同じ写真が、何回も出てくる。
(2)同じ場所・人名であっても、表記がバラバラである。
(3)住所が、大まか過ぎる。ガイドブックではないので、仕方がありませんが、一工夫すれば、利用価値が高まったと思います。
(4)同じ史跡を使う場合、写真を変えてもらうか、別な史跡を載せれば、もっと幅広い、史跡めぐりのバイブルになったでしょう。

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